うちのパパが言うことには
投稿日時:2017/06/22こんにちは、木曜担当・青山です。
書き出しに拝借したのは、小学校の国語の教科書に載っていたあの名作。
重松清さんの「カレーライス」序文でございます。
肝心のストーリーはもうほとんど覚えていないのですが、初めてこの話を読んだ時の衝撃と、幼いながらに深く主人公の少年に共感し同情し感情移入した感覚は、何年経っても忘れられません。
特に冒頭の2フレーズ…
始まってわずか2フレでここまで心をわしづかみにされた小説は、後にも先にもこの「カレーライス」だけだと思うのです…
というわけで、先日久しぶりに読んでみました、重松清。

”1970年代に少年だった40代のおじさん目線”で描かれるエッセイ集です。
ちょうど手に取った日は、何もしていませんが、「父の日」でした。
なかでもとりわけ心に残ったのが「みんな、初めて」というタイトルのエピソード。
中学生の一人息子を持つある男性。もれなく反抗期の息子にほとほと手を焼いている。
ついにある日、ふたりは激しく衝突。カッとなる男性に、息子は言い放った。
「『文句ばっかり言うなよ!俺、生まれて初めて中学生やってるんだぞ!』」
いやもうほんと、その通りですね。
そして男性も、「生まれて初めて」中学生の息子を育てる身。
誰もがお互いに「生まれて初めて」で「最初で最後」の、この日・この瞬間を生きているんだと気づかせてくれる、読後も尾を引く一文でした。
この前提をみんなが共有していたら、もっと世の中いろんな場面で寛容になりそうですね。
当たり前だけど大切なことをさりげなく教えてくれる重松清、感謝です。
カウテレビジョン/青山絵美
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